その都度あんたの弔辞を考えて世間を渡ってきた。
当時は確か吉村新サイクロンを付けたXJ400に乗っていた筈なので
20歳前後の筈だ。
季節は2月か3月で春一番が吹こうかという冬の終わりの夜。
夕食後、親父と何か単純な言い合いから激高してしまい
そのままバイクに乗って家を飛び出した。
故郷の街を流れる一級河川にかかる大橋にバイクを止め
その上から一通の書簡を取り出しビリビリに破いて
川に撒いた。
その手紙は初恋の相手からのもので
長くてほのかで出口の無い恋いの終わりを告げる
ものであった。
その後はしばらく岬や県境の山道を走った。
とあるところの本屋に寄りそこで
開高健のある著作に出会い
そこの一文を読んでなんとか気持ちを持ち直した。
確か週刊プレイボーイに連載されたいたものを
単行本化したものだったと思う。
タイトルは”風に訊け!”だった様な。
内容は憎悪が募った相手とどうしてうまくやっていけるか?_
という問いかけに対して
開口が「そいつの弔辞を考えることでやり過ごしている」と言う旨の
回答であった。
あの時の憎悪の対象が親父であったのか彼女であったのか
もしくはその両方であったのか今となってはわからない。
彼女にもらった詩集は下記にアップしてある。
その後未練と後悔はずっと引きずって生きていた時期がある。
決して短くは無かったあの頃は決して忘れない。
まぁ想い出せば結構失恋ばかりを繰り返したもんだ。
彼女にもらった詩集
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http://ekimaerindo.hp.infoseek.co.jp/x06/x0606001.html