某國之首府にて!
通常は、初めての国に着いてすぐに、横柄な入国管理官、態度の悪い税関吏、しつこい白タクの客引き、
ボッタクリタクシー、愛想の悪いホテルのフロント等々で洗礼を受けて初日をワクワクとして過ごすのだが…出会った人たちの全てが善人で、そして街の雰囲気も素晴らしく、
珍しく投宿してすぐに、「機会が有ればこんな国に住みたい」と思った。
その国は「何でもあるけれど、何も無い」そんな国ではなく
本当に「何も無い」国だった。
首府だと言うのにノンビリとしていて人間として本質的に幸福なんだろうと、感じた。
珍しく乞食や物乞いが居ないと思ったが最終日に某教会に行った
帰りに神父だか牧師だかわからない人が
檀家だか信者だか寄付屋か顧客かわからない人に取り囲まれて
教会の外に行き、また取り巻きを伴って戻ってきたが、
門前に居た複数の貧乏子沢山の物乞い家族をちらっと一瞥したままで
無視したまま説法を続けていた。
まぁ一切寄付をしないで門前に集まるだけの連中は顧客では無いので無視して当然だろう。
宗教の持つ本質を垣間見た瞬間だった。
元々個人がどんなに尽力したって万人を救う事は出来ない。
物乞い連中は赤ん坊や幼子が沢山いて、しっかりやるべきことはやっている
感じがした。
この、正に最後の旅に出る丁度一週間前に別の街に居た。
昨年末から足首にザワザワっとした違和感を感じていたが、
別の街の旧市街の城壁の外の谷底に歩いて行った際に
ついに歩けなくなってしまった。
ハンカチを足首に巻きつけてなんとか城壁の中まで歩いて上がったのだが、
翌日の2時間程歩いた頃にやはり歩けなくなった。
しばらく休憩して後はだましだまし宿か車に戻るしか無かった。
足首に激痛が走る様になると車のブレーキさえ踏めなくなる。
バイクに乗るどころのレベルではないのである。
まだまだやり残したことは沢山ある。
だから本当に
『全て捨てる、全部捨てる』
を本格的に始めた。
残された時間はもうほとんど無いのだ。