Beer,Sake and Wine

夕刻 卓球脱出

タクシーを正面玄関に呼びつけ脱出した。

断酒中ではあったが緊急事態である。

かって1K庵があった旧国鉄の或る駅前のいつもの店はまだまだ
誰もいなかった。
我々は今回たったの3名。

中9日間の断酒ではあったが麦酒はひたすら苦かった。
一杯呑むと頭がクラクラしてきた。
途中から冷酒になった。

ボスは最終電車の時間があるため予定どおり一次会は散会とし
店の外に出たがまだ十分に明るかった。
ボスを見送った後で兄貴と一次会の店の隣の店に入る。
Bassを一杯チビリチビリ呑む間に
兄貴は南アフリカ産の赤ワインをほぼ一本空けていた。

右隣にはYukiちゃんに似た大人の別嬪さんがいつの間にか
座っていた。よく見るとBassを呑んでいた。
独りで紀伊国屋のカバーがかかった文庫本を読んでいた。

彼女がトイレに行った間にその文庫本の中身を確認した。

『ジェネラ・ルージュの凱旋』であった。
ルージュの伝言ではなかった。

店を出る間際に一言二言彼女と言葉を交わしたが
オリジナルの眉毛はそこそこ太く黒くくっきりしていて
昭和美人であった。
笑顔も当然素敵であった。
落ち着いた大人の別嬪さんはやはりいいものである。
黄昏時に独りでバーにやってきて
ペール・エールをチビリチビリ呑みながら
そして文庫本を読んでいる。
あの店は結構独りで別嬪さんが酒を呑みにくるのであった。

まぁ店長の人徳によるところも大きいのだが
珍しくて美味いワイン、ウイスキーや麦酒が結構あるからというのが
その理由だと思う。

酒呑みが集まる店でもある。