Gero 4

昨日からの続き***
寒くて暗い住宅街を歩いてアジトまで帰る。

後1Kmくらいのところまで歩くが寒いのでタクシーを拾う。

見た目の身なりのきっちりした若い運転手。
いつまで経っても「空車」のまま。
時間があったら延々と走らせるのだが…
早く風呂に入って眠りたかったので最寄の信号で止める。
「いくら?」とワザと聞いてみると
「たまにボーっとして、よくやるんですよ、最近、ワンメータ分だけ
 下さい」と言う。
まぁ昔だったら「領収書ちょうだい」というのだが
今回は黙認してあげた。

まぁ「すみません」の一言が無かったのも許せないのだが。

「たまに」
「よくやる」
「最近」
と全然論理的で無い言い訳。

言い換えると、「最近」は「一日の中」で「(こういうの)よくやる」
と言うことであろう。
ぼーっとなんかしていない。夜の街道を歩いている人間を目ざとく
見つけて急停車するその腕は鴨狙い。

彼を非難する気持ちにもならなかった。
モラルの低下云々より生活苦なんだろうと思う。

こうした企業内白タクは結構いるのかもしれない。

*****
昨夜の髭男爵の暴挙のお陰で週末がまだやって来ない。
来週の準備もあるのでなんとか午前中に劇場に向う。

久々に実務を延々と続ける。
少しはゆっくり眠ったのでまだまだ頭は動く。
夕刻にまた別の人間に誘われたので一度アジトに車を置きに
帰ってからバスをジャックして合流する。

日向の焼き鳥屋で麦酒を飲み刺身や焼き鳥を食べる。
途中から熱燗を3名で延々と呑む。

3名の内1名は明日スキーに行くとやらで電車があるうちに帰る。
もう一人は帰らない様になのでアジトに向う。
途中でラーメンを食べ、おまけにおまけの麦酒まで呑んで歩いて帰る。

彼の名前は仮に影武者と呼ぶ。
王殿("おおとの"と読む。王様と殿様と皇帝が合体した様な人である)
のそっくりさんで今度王殿の影武者で実弾攻撃に遭う予定である。

影武者を布団に寝かせてから自分の寝床を確保する。
影武者はすっかりいびきをかいて眠っている。
もう午前2時である。
敷物に毛布という自分の寝場所を確保してから
シャワーを浴びて寝た。
疲れた。