酒に溺れて、自分の言葉に酔い潰れて  『空と風と星と詩』

『酒に溺れて、自分の言葉に酔い潰れて』英蟯虫

ラクタで身の回りを固めて
ワザと路地裏を彷徨い迷走を続ける。

純化しその先に見えてくるものを薄々知っているだけに
それが怖いのだ。

心の闇の中にあるものを敢えて見たくないのだ。
小さい、小さい、卑小な自分と対峙したくないのだ。


酒に溺れて、自分の言葉に酔い潰れて、
自分をなぶり、いたぶり、そしてなんだかんだと
理由をつけて自分から逃げて逃げて逃げ続けているのだ。

答はとっくに見つけているのに、探しているフリをしているのだ。

そんな自分を認めてしまうと、一気に自分自身が瓦解してしまうことを
恐れているのだ。

ゲロを吐きまくり、黄色い液も吐き続け、透明の液も吐き続け
それでもまだ足りなくて喉から血を吐きまくる。

でもまだ心の闇の先にあるものを自分自身で認める勇気が無い。

嗚呼。

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『空と風と星と詩』尹東柱詩集 金時鐘 編訳  岩波文庫 赤 75-1 540円+税

 ようやく手に入れたこの詩集を奇しくも、老後まで後一周となった日に読んだ。
詩を読むという表現はおかしいが、とにかく読んだ。

 中でも、特に『道』という詩には号泣した。
 他にも沢山の素晴らしい詩がこの文庫本には収録されている。